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離婚後の子の養育に関する民法等改正について

更新日:2026年4月8日更新 ページID:0016436 印刷ページ表示

父母の離婚後の子の養育に関するルールの改正について​

『法改正の概要』

父母が離婚後も適切な形でこどもの養育に関わりその責任を果たすことは、こどもの利益を確保するために重要です。2024年(令和6年)5月に成立した民法等改正法は、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権、養育費、親子交流などに関するルールを見直しています。

この法律は、2026(令和8年)年4月1日に施行されます。

1.親の責務に関するルールの明確化

Point

父母が、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことなどが明確化されています。

【こどもの人格の尊重】

父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。その際には、こどもの意見に耳を傾け、その意見を適切な形で尊重することを含め、こどもの人格を尊重しなければなりません。

 

【こどもの扶養】

父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責務を負います。この扶養の程度は、こどもが親と同程度の水準の生活を維持することができるようなものでなければなりません。

 

【父母間の人格尊重・協力義務】

父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければなりません。次のような行為は、この義務に違反する場合があります。(※1)

●父母の一方から他方への暴行、脅迫、暴言等の相手の心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷、濫訴等

●別居親が、同居親による日常的な監護に、不当に干渉すること

●父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること(※2)

●父母で親子交流の取決めがされたにもかかわらず、その一方が、特段の理由なく、その実施を拒むこと

など

※1 父母の一方が父母相互の人格尊重・協力義務に違反した場合には、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反内容が考慮される可能性があります。(法務省解説資料Q2-7参照)外部リンク

※2 DVからの避難のような急迫の事情があるときは、子を連れて転居等をすること自体がそれらの義務に違反することはありません。(法務省解説資料Q2-2参照)外部リンク

 

【こどもの利益のための親権行使】

親権(こどもの面倒をみたり、こどもの財産を管理したりすること)は、こどもの利益のために行使しなければなりません。

2.親権に関するルールの見直し

(1)父母の離婚後の親権者

Point

父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。

 

父母の婚姻中は父母双方が親権者ですが、これまでの民法では、離婚後は、父母の一方のみを親権者と定めなければなりませんでした。

今回の改正により、離婚後は、共同親権の定めをすることも、単独親権の定めをすることもできるようになります。

 

【親権者の定め方】

協議離婚の場合

父母が、その協議により、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

父母の協議が調わない場合や裁判離婚の場合

家庭裁判所が、父母とこどもとの関係や、父と母との関係などの様々な事情を考慮した上で、こどもの利益の観点から、親権者を父母双方とするか、その一方とするかを定めます。

次のような場合には、家庭裁判所は必ず単独親権の定めをすることとされています。

●虐待のおそれがあると認められるとき

●DVのおそれその他の事情により父母が共同して親権を行うことが困難であると認められるとき

※身体的な暴力を伴う虐待・DVだけとは限りません。
※これらの場合以外にも、共同親権と定めることでこどもの利益を害すると認められるときは、裁判所は必ず単独親権と定めることとされています。

 

【親権者の変更】

離婚後の親権者については、こどもの利益のため必要があると認められるときは、家庭裁判所が、こども自身やその親族の請求により、親権者の変更(父母の一方から他の一方/一方から双方/双方から一方)をすることができます。

(2)親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)

Point

父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。

1.親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。

2.次のような場合は、親権の単独行使ができます。

●監護教育に関する日常の行為をするとき

●こどもの利益のため急迫の事情があるとき

  

日常の行為に当たる例

(単独行使可)

日常の行為に当たらない例

(共同行使)

・食事や服装の決定

・短期間の観光目的での旅行

・心身に重大な影響を与えない医療行為の決定

・通常のワクチンの接種

・習い事

・高校生の放課後のアルバイトの許可

・こどもの転居

・進路に影響する進学先の決定

(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む)

・心身に重大な影響を与える医療行為の決定

・財産の管理(預金口座の開設など)

  
急迫の事情(単独行使可)

父母の協議や家庭裁判所の手続きを経ていては親権の行使が間に合わず、こどもの利益を害するおそれがある場合をいいます。

・DVや虐待からの避難をする必要がある場合

・こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合 など

3.特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。

父母が共同して親権を行うべき特定の事項について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が、父又は母の請求により、父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。

※改正前は、1.のみが規定されており、2.と3.については規定がありませんでした。

(3)監護についての定め

Point

父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。

【監護の分担】

父母が離婚するときは、こどもの監護の分担についての定めをすることができます。この定めをするに当たっては、こどもの利益を最も優先して考慮しなければなりません。

 

【監護者の権限】

離婚後の父母双方を親権者とした場合であっても、その一方を「監護者」と定めることで、こどもの監護をその一方に委ねることができます。
このような定めがされた場合には、「監護者」は、日常の行為に限らず、こどもの監護教育や居所・職業の決定を、単独ですることができます。

3.養育費の支払確保に向けた見直し

Point

・養育費の取決めに基づく民事執行手続が容易になり、取決めの実効性が向上します。

・法定養育費の請求権が新設されます。

・養育費に関する裁判手続の利便性が向上します。

 

【合意の実行性の向上】

これまでの民法では、同居親と別居親の間で養育費の支払を取り決めていたとしても、別居親が養育費の支払を怠ったときに別居親の財産を差し押さえるためには、公正証書や調停調書、審判所などの「債務名義」が必要でした。
今回の改正により、養育費債権に「先取特権」と呼ばれる優先権が付与されるため、債務名義がなくても、養育費の取決めの際に父母間で作成した文書に基づいて、差押えの手続を申し立てることができるようになります。先取特権が付与される養育費の額は、子一人当たり月額8万円です。なお、改正法施行前に養育費の取決めがされていた場合には、改正法施行後に生ずる養育費に限ってこの改正が適用されます。

 

【法定養育費】

離婚のときに養育費の取決めをしていなくても、離婚のときから引き続きこどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、子一人当たり月額2万円の「法定養育費」を請求することができるようになります。

 

【裁判手続の利便性向上】

・養育費に関する裁判手続では、各自の収入を基礎として、養育費の額を算定することとなります。そこで、今回の改正では、手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。

・養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで財産の開示、給与情報の提供、判明した給与の差し押さえに関する手続きを行うことができるようになります。

4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し

Point

・家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うこと(試行的実施)に関する制度が設けられています。

・婚姻中の父母が別居している場面の親子交流のルールが明確化されています。

・父母以外の親族(祖父母等)とこどもの交流に関するルールが設けられています。

 

【親子交流の試行的実施】

家庭裁判所の手続き中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所はこどものことを最優先に考え、実施が適切かどうかや調査が必要かなどを検討し、親子交流の試行的実施を促します。その具体的な手続きは、次の通りです。

(1)家庭裁判所は、こどもの心と体の状態に照らし合わせて実施が相当かや、調査の必要があるかなどを考慮して、親子交流の試行的実施を促すかどうかを検討します。
(2)家庭裁判所は、(1)の検討を踏まえて当事者に対して親子交流の試行的実施を促します。その際、家庭裁判所は交流する日時や場所、方法などを決めたり、約束事項を定めたりすることができます。
(3)当事者は、家庭裁判所からの促しに応じて、親子交流を試行的に実施します。
(4)試行的実施の状況や結果は、家庭裁判所調査官による調査や当事者である父母自身による報告を通じて、家庭裁判所と父母との間で共有されます。
(5)家庭裁判所は、(4)の結果を踏まえて調停の成立や審判に向けて、必要に応じてさらに調査や調整を行います。

 

【婚姻中別居の場合の親子交流】

今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流について、次のようなルールを明らかにしています。

1. 婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める。

2. 協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める。

3. 1.や2.に当たっては、こどもの利益を最優先に考慮する。

 

【父母以外の親族とこどもの交流】

今回の改正では、こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができることとしています。家庭裁判所への申立てを行うのは、原則として父母ですが、父母の一方が死亡したり行方不明になったりした場合など、ほかに適当な方法がないときは祖父母、兄弟姉妹、それ以外で過去にこどもを監護していた親族などが、自ら家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

5.財産分与に関するルールの見直し

Point

・財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されています。

・財産分与において考慮すべき要素が明確化されています。

・財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。

 

【財産分与の請求期間】

財産分与は、夫婦が婚姻中に共に築いた財産を、離婚の際にそれぞれ分け合う制度です。財産分与については、夫婦の協議によって決めますが、成立しない場合には家庭裁判所に対して財産分与の請求をすることができます。これまでは、財産分与の請求ができる期間は離婚後2年に制限されていましたが、改正によって離婚後5年を過ぎるまで請求できるようになります。

 

【財産分与の考慮要素】

これまでは、財産分与にあたり、どのような事情が考慮されるべきかが明確に決められていませんでした。今回の改正では、財産分与の目的が各自の財産上のつり合いがとれるようにすることを明らかにした上で、以下の考慮要素を例に挙げています。

  1.  婚姻中に取得または維持した財産の額
  2.  財産の取得または維持についての各自の寄与の程度(原則2分の1ずつ)
  3.  婚姻の期間
  4.  婚姻中の生活水準
  5.  婚姻中の協力や扶助の状況
  6.  各自の年齢、心身の状況、職業、収入

上記のうち、「財産の取得または維持についての各自の寄与の程度」については、直接収入を得るための就労だけではなく、家事労働や育児の分担などさまざまな性質のものが含まれるため、寄与の程度は原則として夫婦対等(2分の1ずつ)とされています。

【裁判手続きの利便性向上】

財産分与に関する裁判手続きでは、分与の対象となる財産の種類や金額を明らかにする必要があります。今回の改正では、家庭裁判所が当事者に対して財産情報の開示を命じることができるようになり、手続きがスムーズになります。

6.養子縁組に関するルールの見直し

Point

・養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されています。

・養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されています。

【養子縁組後の親権者】

未成年のこどもが養子となった場合、養親がそのこどもの親権者となり、実親は親権を失います。複数回の養子縁組がされた場合は、最後に養子縁組をした養親だけが親権者となります。離婚した実父母の一方の再婚相手を養親とする養子縁組(連れ子養子)の場合は、再婚相手とその配偶者である実親が親権者となります。このケースでは、実父母の離婚後に共同親権としていたとしても、他方の親権者はそれを失います。

【養子縁組についての父母の意見調整の手続き】

15歳未満のこどもが養子縁組をするときは、こどもの親権者が養子縁組の手続きを行う必要があります。これまでは、父母の双方が親権者である場合に意見の対立があっても、それを調整するためのルールがなく、意見が一致しなければ養子縁組をすることはできませんでしたが、今回の改正では、父母の意見対立を家庭裁判所が調整する手続きを新しく設けました。家庭裁判所は、こどもの利益のために特に必要がある場合に限り、父母の一方を養子縁組についての親権行使者として指定することができるようになります。親権行使者は単独で養子縁組の手続きをすることができます。

 

7.その他の改正

​これまでは、夫婦の間で結んだ契約をいつでも一方的に取り消すことができました。また、重い精神疾患で回復の見込みがないことが、裁判離婚の事由の一つでしたが、今回の改正では、このニつについての規定を削除しました。

 

 

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