令和7年度 施政方針
令和7年第1回南風原町議会定例会の開会にあたり、赤嶺正之町長が施政方針を表明しました。 (令和7年3月4日)
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※「施政方針」とは、これからの町政運営に向けての基本的な考え方と主な施策を示すものです。 過去の施政方針はこちらから
令和7年度施政方針
令和7年第1回南風原町議会定例会の開会にあたり、予算案をはじめとする各議案の説明に先立ち、私の町政運営に対する所信を申し述べ、町民皆様並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと存じます。
はじめに
私は町長就任以来、未来へつなぐ「愛・夢・安らぎ」をスローガンに掲げ、南風原町総合計画の将来像である「ともにつくる黄金南風の平和郷」の実現と、町民皆様との約束である7つの政策に全力で取り組んでまいりました。今後も、平和・教育・文化・福祉・子育て支援等の様々な分野において、町民皆様の声に耳を傾けながら、共に歩んでいく姿勢で取り組んでまいります。
昨今の社会情勢を鑑みると、急速な物価高騰が町民生活や地域経済に影響を及ぼしています。このため、引き続き町民や事業者の支援に全力で取り組む所存です。
また、物価高騰に加え人件費の大幅な増加が、町財政に大きな影響を与えています。そのため、町民皆様との約束である町民体育館の建設スケジュールを見直す決断をいたしました。これは、町民体育館が単なる建設にとどまらず、長期的に持続可能で地域に根ざした施設となることを目指すためです。町民体育館は、地域交流や健康促進の場として重要な役割を果たすことが期待されており、今後も、町民皆様と意見交換を重ね、実現に向けて全力で取り組んでいく所存ですので、ご理解とご協力をお願い申し上げます。
全国的に自然災害が頻発しており、昨年11月には、本島北部地区で集中豪雨による甚大な被害が発生しました。本町でも予測できない災害から町民皆様の生命や財産を守るため、防災力を強化し、災害対策にしっかりと取り組んでまいります。
今年、本町は町制施行45周年を迎えます。これまでの行政運営に対し、町民皆様並びに議員各位のご理解、ご協力に心より感謝申し上げます。全国的な人口減少や少子高齢化が急速に進展する中で、自治体DXの推進など、社会情勢が大きく変化しています。本町においても、将来を見据えた施策に取り組み、「住みたい」「住んで良かった」「ずっと住み続けたい」と思っていただけるような魅力あるまちづくりを進めてまいります。
それでは、令和7年度に実施する施策について、その骨子を申し述べます。
■ともにつくる黄金南風の平和郷について
第五次南風原町総合計画は、今年度で9年目を迎えます。これまでの施策について評価と検証を行い、次期総合計画の策定に向けた準備を進めてまいります。
私たちが目指す総合計画の将来像である「ともにつくる黄金南風の平和郷」の実現に向けて、様々な施策を展開していきます。
基本理念の「平和」、「自立」、「共生」について、町民平和の日を中心に「平和」の尊さを願う町民の心を国内外に発信し、平和なまちづくりを目指します。また、新たな時代の中で「自立」した多様な人々が育ち集う地域力のあるまちづくりを進め、自然との調和や人と人のつながりを大切にした「共生」のまちづくりを目指します。
■みんなで考え、みんなで創るわくわくするまちについて
町民に必要な情報を迅速かつ確実に届けるため、町広報誌、ホームページ、SNSなど多様な媒体を効果的に活用し、行政情報の発信に努めます。
町民との双方向コミュニケーションを促進するため、まちメール、町政提案箱、行政懇談会に加え、各種委員会への公募委員の積極的な登用、パブリックコメント制度の活用など、様々な意見交換の機会を設けます。これらの取組を通じて、町民の町政への参画を促し、町民の声を町政に反映させるよう努めます。
また、地域住民の交流や活動の拠点となっている「兼本ハイツ集会所建設事業」への整備補助を行い、地域コミュニティの活性化を支援します。
■きらきらと輝く人が育つまちについて
家庭教育、ふるさと教育、学校教育を通じて、自ら考え、決め、行動できる人を育てます。また、人と人のつながりを大切にし、より大きな力を発揮できる環境を整えるために、家庭と学校、地域が一丸となって取り組みます。
学校教育においては、令和6年度から令和7年度にかけて、各小中学校に学校運営協議会を設置し、地域との連携・協働により「地域とともにある学校」への転換を図ります。また、児童・生徒の基礎学力の定着を進めるとともに、全ての教科の基礎となる「読み解く力」の強化にも取り組み、「確かな学力」向上を目指します。
町内の小中学校ではICTを活用し、わかりやすい授業づくりや子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」の実現に取り組みます。また、登校に不安や悩みを抱える児童・生徒に対して、関係機関と連携し、一体となった支援を行います。さらに、町立幼稚園において教育・保育を一体的に提供できる「認定こども園」への移行や、3歳児の受け入れについて具体的な検討を進めます。
学校給食については、物価高騰の影響により学校給食費を改定しますが、改定分を支援するとともに、引き続き栄養バランスの取れた給食を提供します。また、児童生徒の健康保持と増進を図るために、栄養士による食に関する授業や食育講話を実施し、食に対する正しい理解を促進します。さらに、安定的な供給体制を確立するために、調理業務等を民間委託し、引き続き安全で安心な学校給食の提供に努めます。
教育施設については、昨年度に引き続き、小中学校体育館のLED照明への切り替えを行い、環境改善や温室効果ガスの削減、コスト削減に努めます。
生涯学習を推進するために、中央公民館や文化センターを拠点として、多くの町民の学び・体験・交流ができる機会の拡充を図ります。また、魅力ある図書館を目指し、電子図書や地域資料等の整備・充実を進め、地域と学校が連携・協働できるよう地域学校協働本部(学校応援隊はえばる等)の活用を図ります。
平和学習や交流・観光関連事業については、沖縄陸軍病院南風原壕群の活用や、子ども平和学習交流事業による小学生の派遣、青少年国際交流による中学生のハワイ州派遣を実施します。また、文化センターに収蔵されている沖縄及び南風原の歴史資料等をデータベース化し、公開・活用を進めます。
スポーツ振興については、黄金森公園施設を活用したスポーツキャンプ等を誘致します。また、町民に広くスポーツ活動の機会を設け、生涯スポーツや競技力向上の推進に取り組みます。
■ちむぐくるでともにつくる福祉と健康のまちについて
第3次南風原町地域福祉推進計画の基本理念である「ちむぐくるで笑顔あふれる福祉のまち南風原」を目指します。
子ども・子育て支援については、新たな取組として、こども誰でも通園制度による乳児等通園支援事業を開始します。また、高校卒業年齢までのこども医療費助成の現物給付や、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援の充実、妊娠出産時の経済的支援に継続して取り組んでまいります。さらに、町内の保育所等に就職した保育士に10万円を給付する就職一時金等を継続し、保育士確保に努めてまいります。宮平保育所、北丘児童館及び津嘉山児童館の防水工事を実施し、施設の長寿命化を図ります。
子どもの貧困対策については、従来の拠点型居場所や若年妊産婦支援を継続し、新たに中高生や若者を対象とした学習・就労支援を行う居場所づくりに取り組みます。
障がい者(児)・高齢者支援については、障がい者の自立支援を推進し、第6次障がい者計画に基づく各施策に引き続き取り組んでまいります。心身共に元気な高齢者が地域で安心して暮らせるよう、介護予防事業や認知症対策の更なる推進を図ります。また、福祉サービスの充実と権利擁護を含む相談支援体制の強化、地域包括ケアシステムの発展を図り、障がいの有無や年齢に関わらず、誰もが地域の一員として互いに支え合う地域共生社会の実現を目指します。
町民の健康づくりについては、特定健診の受診率向上に努め、生活習慣病予防に重点を置いた保健活動を強化してまいります。また、一括交付金を活用した学童期における生活習慣病予防健診にも取り組みます。
国民健康保険事業の運営については、国保特別会計の赤字が続いており、令和7年度も厳しい国保財政が続くと想定されます。給付と負担のバランスを図りながら、沖縄県国民健康保険運営方針に示された市町村の役割をしっかりと担い、県と連携し安定的な運営に取り組んでまいります。
■工夫と連携で産業が躍動するまちについて
農業振興については、農地の有効活用を推進し、農地の保全や土壌改良・地力増強を促進するための土づくり奨励補助を継続します。また、かぼちゃの増産支援としてミツバチ巣箱の設置や農業経営の安定を図るための農業者肥料購入支援事業などを実施し、農業経営基盤の強化に努めます。
さらに、町農業委員会の農地利用最適化推進委員や農業関係団体と連携し、耕作放棄地や遊休農地の解消、農地の確保・集積を進めるとともに、新規はる畑さー人支援事業補助金の給付等を通じて、新規就農者の担い手育成に取り組みます。
基幹作物であるサトウキビの振興については、病害虫対策や種苗配布、収穫機械利用経費に対する補助を通じて生産振興を図ります。
畜産振興においては、経営の安定化を目指し、畜産公害・環境保全対策事業による支援を継続するとともに、粗飼料価格高騰対策臨時支援事業や家畜伝染病予防事業などの支援にも取り組みます。
商工振興については、物価高騰対策として、町民1人あたり2千円の商品券を配布する物価高騰生活者支援事業を実施し、生活支援及び地域産業振興を図ります。また、商品展開力強化支援事業を通じて特産品のプロモーションや販路構築、顧客基盤の形成に町商工会と連携して取り組みます。さらに、町内中小企業の経営基盤強化を図り、本町への新たな企業立地を促進・支援し、雇用拡大を推進します。
雇用促進については、女性の活躍を推進するためにデジタル教育と就労まで一貫した支援を行う、地域女性活躍推進事業を継続します。
伝統工芸産業振興については、振興計画に基づく後継者育成事業等を実施し、琉球絣・南風原花織の新規従事者の養成と若者の感性を活かした後継者育成に取り組みます。また、県内外での展示即売会や各種イベントでのPR活動についても、琉球絣事業協同組合と連携して進めてまいります。
観光振興については、町観光協会と連携し観光施策の推進・振興に努めるとともに、観光大使や「はえるん」の情報発信力を活用し、本町のPR活動を促進します。
■みどりとまちが調和した安全・安心のまちについて
都市化や生活スタイルの多様化が進む中、地域における安全・安心な環境基盤づくりを、地域と協働し取り組みます。
地震や台風、大雨などの自然災害、さらには特殊詐欺などの犯罪から町民の生命と財産を守るため、安全・安心な環境基盤の整備に関して、関係機関や地域社会と連携し、総合的な対策を講じます。
防災体制の強化については、地域防災計画に基づき、町が主体となって実施する総合防災訓練に加え、各字・自治会における自主防災組織の結成及び活動を支援し、地域防災力の向上を図るとともに、町民一人ひとりの防災意識の向上に努めます。さらに、災害発生時等において、町民に必要な情報を迅速かつ確実に発信するため、防災行政無線の機能強化を図り、町のホームページやSNSと連携することで、より効果的な情報発信に努めます。
道路事業については、引き続き町道10号線及び津嘉山中央線(2工区)の整備を進めます。また、町道16号線の交差点改良工事を実施し、渋滞緩和を図ります。さらに、町道9号線及び町道143号線の実施設計を行い、地域の交通環境を改善します。
公園事業では、引き続き津嘉山公園の整備を進め、地域住民が安心して利用できる環境を整えます。また、公園施設長寿命化計画に基づき、改築工事を行います。
河川関係については、宮平川の浚渫工事を実施し、河川の氾濫対策や水質改善に取り組みます。
津嘉山北土地区画整理事業については、本部公園線の道路築造工事及び物件補償を中心に事業を進めます。
下水道事業の汚水整備については、引き続き津嘉山北土地区画整理事業区域内、JA津嘉山支店付近の集落地内及び、喜屋武・照屋地区の整備を進めます。また、雨水整備では、引き続き照屋地内、大名地内の整備を行います。
農業集落排水事業については、神里地区汚水処理施設の老朽化に伴う再整備事業の採択に向けて取り組みます。また、下水道接続の普及活動を行い、水洗化率の改善に取り組みます。
土地利用関係では、南風原南インターチェンジ周辺照屋地区の土地区画整理組合設立に向けて、地権者組織の支援と、都市計画法関連手続きを平行して進めます。また、津嘉山地区についても事業化を検討します。
交通計画については、総合交通戦略に基づき、生活道路や通学路における安全対策に取り組みます。また、昨年度に開始した地域公共交通モビの実証運行について、検証結果を踏まえた改善を図り、持続可能な公共交通としての取組を継続します。
■環境と共生する美しく住みよいまちについて
住み良い住環境と循環型社会の実現に向けて、町民やNPO、企業・事業所等と連携し、ごみの減量化や資源化・再利用を促進します。また、「第3次南風原町一般廃棄物処理基本計画」や「南風原町災害廃棄物処理計画」に基づき、様々な施策に取り組みます。
ごみの不法投棄等については、巡回パトロールを強化し、立て看板等の設置や関係機関との連携を通じて、効果的な対策を講じていきます。
次世代を担う子どもたちへの環境教育の一環として、SDGsの取組や「はえばるエコセンター」を活用した環境講座、学校との連携による環境学習支援事業を実施し、子どもたちの環境意識の高揚を図ります。
町民の生活に密接に関わる悪臭や騒音、水質汚濁、振動等の公害問題については、各関係機関と連携しながら生活環境の保全に努めます。
■健全な行財政運営について
「第五次南風原町行政改革大綱」の「協働によるまちづくりの推進」「組織力の強化と人材育成」「健全で持続可能な行財政経営の推進」の3つの基本方針を柱に、「行政改革大綱実施計画」に定めた具体的な取組事項を推進し、行政サービスの更なる向上に努めます。また、2月に策定しました南風原町DX推進計画に基づき、行政手続きの更なる利便性向上や業務の効率化を図るなど、自治体DXを推進します。
引き続き社会情勢等の状況の変化に柔軟に対応しながら、健全で持続可能な行財政運営に努めます。
■予算編成について
令和7年度当初予算は、これまで申し上げた施策に重点を置き、第五次南風原町総合計画に掲げたまちづくり目標を推進するため、教育・文化・福祉・子育て支援、都市基盤の整備、産業振興、防災など多岐にわたる分野において予算編成いたしました。しかしながら、冒頭でも申し上げた通り、社会情勢の変化、特に人件費の増加や物価高騰などが影響し、大変厳しい財政状況に直面しています。
今後も持続可能な財政基盤の確立に努め、重要な政策課題には必要な予算措置を講じ、メリハリの効いた町政運営に努めてまいります。
おわりに
以上、令和7年度の町政運営についての考え方と主要施策の概要などについて述べました。
予算以外の審議案件として議案11件、また、追加議案として数件提出する予定です。議員各位の慎重なるご審議の上、議決を賜りますようお願い申し上げます。
令和7年3月4日 南風原町長 赤嶺正之