「義務教育費国庫負担拡充」及び教育条件整備のための意見書 |
日々、教育発展のために、御努力いただいていることに敬意を表します。
さて、今日の教育の抱えている課題を解決するためには、地域や子どもの状況を踏まえ多様な教育活動が推進できるよう、「当事者」である学校や市町村教育委員会が主体的に運営できる仕組みに改善することが喫緊の課題です。
そのための財政的な保障は、国の絶対的な責務です。義務教育費国庫負担制度は、教育の機会均等とその水準の維持向上を図る制度として完全に定着しており、現行教育制度の重要な根幹をなしています。
しかしながら政府は、昭和60年度以降、義務教育費国庫負担制度の見直しを断続的に行い、これまで旅費、教材費、恩給費、共済費、公務災害補償基金、退職手当及び児童手当等義務教育に係る経費を相次いで一般財源化した経過があります。さらに、2006年の三位一体改革により、義務教育費国庫負担制度の国負担割合は「2分の1」から「3分の1」に引き下げられました。教育予算について、GDPに占める教育費の割合は、OECD加盟国の中で日本は最下位となっているのが現状です。
現在、教職員給与費のさらなる一般財源化ばかりか義務教育費国庫負担金全額の一般財源化を推し進めようとするなどの動きがあります。もし、義務教育費国庫負担が無くなれば、自主財源の厳しい地方公共団体では、義務教育に十分な予算を回すことができなくなり、地方公共団体間での教育条件に大きな格差が生じます。特に、多くの離島僻地校を抱える本県は非常に深刻な状況に置かれることが予想されます。
子どもたちの教育に、地域による格差があってはなりません。憲法に保障された義務教育においては、全国均質の教育条件を国の責任で保障すべきです。
そこで、貴職におかれましては、このような状況を認識していただき、すべての子どもたちの教育条件の整備のため、下記事項の実現に向けて最大限の努力を払われますよう要望いたします。
記 |
一、教育の機会均等とその水準の維持向上を図るため、その根幹となる義務教育費国庫負担制度を堅持し、早急に国の負担を(2分の1以上に)拡充すること。
一、教職員定数改善を速やかに実施するとともに、学校現場に必要な教職員を確保し、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等の専門職の配置を正規職として拡充できるようにすること。
一、意欲と情熱を持って教育に取り組む優れた教員を確保するため、人材確保法を堅持し、勤務実態を踏まえた教員の処遇改善に努めること。
一、教育関係予算を増額し、充実させること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。 |
令和5年(2023年)6月16日 |
沖縄県島尻郡南風原町議会 |
【提出先】内閣総理大臣、文部科学大臣
「義務教育費国庫負担拡充」及び教育条件整備のための意見書.pdf(87.4KBytes)