米軍普天間飛行場の辺野古移設をめぐり、翁長知事による埋立承認の取り消しは違法だとして、安倍政権の石井国土交通相は「代執行」訴訟を起こし、12月2日に第1回口頭弁論が行われた。国と地方の代執行訴訟は1999年の地方自治法改正以来、初めてであるが、翁長知事は県民にとって「銃剣とブルドーザー」による強制接収を思い起こさせるものだと指摘した。 こうした安倍政権の新基地建設に向けた一連の手法は、翁長知事の意思と沖縄県民の民意を踏みにじり、地方自治と民主主義を破壊しかねず、法治国家として到底許されない。 沖縄の「新基地建設反対」の民意は、昨年の名護市長選、県知事選、総選挙などで繰り返し示され、翁長知事による前知事の埋立承認を取り消した判断については、直近の世論調査で8割の県民が支持していることでも明らかであり、加えて全国の世論調査でも「評価する」が「評価しない」を大きく上回っている。 行政不服審査法は、行政庁の違法または不当な処分その他の公権力の行使にあたる行為に関し国民に対して広く行政庁に対する不服申し立ての道を開くことによって「国民の権利利益の救済を図る」ことを目的としている。然るに、辺野古への新基地建設を「唯一の解決策」とする沖縄防衛局の訴えを、同じ国の機関・国土交通省が審査して工事継続を認めるなどというのは、公平性、客観性を欠いた法の悪用でしかない。 戦後70年、県民の生命と安全を脅かし、県経済発展の阻害要因となっている米軍普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念、オスプレイ配備撤回は、保革を超えた県民の民意であり、「建白書」に応えるのが民主主義国家である日米両政府の責務であると考える。民意を無視し不法を重ねて新基地を強引に建設することは、断じて許されるものではない。 沖縄へのこのような強硬姿勢に対し、他県ではオスプレイ訓練を拒否されたらすぐに白紙撤回するなど、明らかに二重基準であり、沖縄県民の意思は無視してかまわないという政府の意識があるといわざるを得ない。 国際法に反し、県民の土地を米軍が強制接収して建設した在沖米軍基地の成り立ちと沖縄の苦難の歴史を踏まえ、うちなんちゅの誇りと尊厳にかけて、「新基地を造らせない」とする翁長知事の揺るぎない姿勢と県民の意思は、政府が強権的手法をもってしても屈することはない。 よって本町議会は、県民の生命と安全、沖縄の自己決定権、人権、そしてひろく民主主義と地方自治を守る立場から、安倍政権による辺野古への新基地建設に向けた埋立承認取り消しの「効力停止」「代執行の提訴」「本体工事着手」の強制的手法に強く抗議し、新基地建設工事の即時中止を求めるものである。
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