「30人以下学級の早期・完全実現」のための意見書 |
日々、教育発展のために、御努力いただいていることに敬意を表します。
さて、経済格差の拡大などによる就学援助児童生徒の増加、保護者等の多様な教育ニーズ、子どもたちの学力格差の拡大など、ますます教育現場では困難な状況が表れています。日本の学校の「1学級40人」の定数は国際的に見て異常な多さであり、OECD諸国に比べて、1学級当たりの児童生徒数や教員1
人当たりの児童生徒数が多い状態です。
2021年3月の国会において「公立義務教育諸学校の学級編成及び教職員定数の標準に関する法律」の一部を改正する案が可決し、小学校の学級編成の標準を5年間かけて計画的に35人に引き下げることになりましたが、2010年に文部科学省が実施した「今後の学級編成及び教職員定数に関する国民からの意見募集」では、約6割が「小中高校の望ましい学級規模」として、26人~30人を挙げています。
このように、保護者も30人以下学級を望んでいることは明らかです。学校現場では個々に応じたきめの細かい指導や,ゆとりをもった授業が強く求められており、一人ひとりの子どもに丁寧な対応を行うためには、1クラスの学級規模を引き下げる必要があります。
また、沖縄県はすでに独自の少人数学級施策として、2012年度から順次実施してきました。さらに2021年4月から「35人以下学級」を中学校2・3年生まで拡大しました。
しかし、特別支援学級の児童生徒がいわゆる協力学級の授業に参加していることが多くあり、実質的に35人を超えて授業を行う事例が日常的にみられます。
これら「少人数学級」の実現は、次代を担う子どもたちの教育をより良くしていくために必要不可欠な制度であり、実際に日本各地で何らかの形態で「少人数学級」の施策が実施されています。中には沖縄県より進んだ「少人数学級」が実現している他府県も多くあります。
しかし、さまざまな教育課題をかかえる沖縄県では、それを解決するための「少人数学級」実現はまだまだ不十分な状況にあります。
すべての子どもたちがどこに生まれ育ったとしても等しく良質な学校教育を受けられるようにすることは、多くの保護者・教育関係者の願いであると同時に、国はもちろん県・市町村も含めた行政の責任でもあります。
そのためにも学校現場における「30人以下学級」の完全実現は急がれる課題になっております。
次代を担う子どもたちの健やかな成長を願うこの要望をご理解の上、お力添えをいただきますよう下記の事項を強く要請いたします。
記 |
一、閣議決定された政府『骨太方針2021』で検討することを言及した、中学校全学年までの「35人以下学級」を推進すること。
一、さらに「30人以下学級」の早期・完全実現ができるよう教職員定数の大幅な改善など人的措置・財政的な措置を国に要請すること。
一、県独自にも「30人以下学級」が実現できるよう、枠の拡大や下限条件「25名以上」を撤廃すること。
一、インクルーシブ教育充実の観点からも、沖縄県施策「少人数学級」の定数には特別支援学級の児童生徒も含むよう要請すること。
一、「30人以下学級」に伴う教室増等の条件整備を市町村と連携して早急に、かつ計画的に行うこと。
一、増員される教職員は臨時採用ではなく、正規の教職員をあてるようにすること。
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。 |
令和6年(2024年)10月2日 |
沖縄県島尻郡南風原町議会議長赤嶺奈津江 |
【提出先】沖縄県知事、沖縄県教育員会教育長
「30人以下学級の早期・完全実現」のための意見書(あて先:県).pdf(80.8KBytes)