訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求める意見書 |
「訪問介護事業所がなくなれば住み慣れた家で暮らしていけない」、「親を介護施設に入れざるを得ない」。3年に 1度の介護報酬の改定で、訪間介護の基本報酬が4月から引き下げられたことに怒り不安の声が広がっています。身体介護、生活援助など訪問介護は、とりわけ独居の方をはじめ要介護者や家族の在宅での生活を支えるうえで欠かせないサービスです。このままでは在宅介護が続けられず「介護崩壊」を招きかねません。
介護報酬は介護保険から介護事業所に支払われますが、今回の引き下げで訪問介護事業所、とりわけ小規模・零細事業所が経営難に陥り、在宅介護の基盤が壊滅的になる恐れがあります。すでに23年の訪問介護事業所の倒産は67件と過去最多を更新し、ほとんどが地域に密着した小規模・零細事業所です。
厚生労働省は引き下げの理由として、訪間介護の利益率が他の介護サービスより高いことをあげていますが、これはへルパーが効率的に訪問できる高齢者の集合住宅併設型や都市部の大手事業所が利益率の「平均値」を引き上げているものであり、実態からかけ離れています。
訪問介護はとくに人手不足が深刻です。長年にわたる訪問介護の基本報酬が引き下げられた結果、ヘルパーの給与は常勤でも全産業平均を月額約6万円も下回ります。ヘルパーの有効求人倍率は22年度で15.5倍(厚労省調べ)と異常な高水準です。
政府は訪問介護の基本報酬を引き下げても、介護職員の処遇改善加算でカバーできるとしていますが、すでに加算を受けている事業所は基本報酬引き下げで減収となり、その他の加算も算定要件が厳しいものが多く、基本報酬引き下げ分をカバーできない事業所が出ると予想されます。今回の介護報酬改定では介護職員の処遇改善のため報酬を0.98%引き上げるとしています。これにより厚生労働省は職員のべースアップを 24年度に月約7,500円、 25年度に月約6,000円と見込みます。しかし財源の根拠が不明確でべースアップが確実に実行される根拠はありません。このままでは介護人材の確保はますます困難になるだけです。
沖縄県内でも休廃止する介護事業所が急増しており、保険料を払っても必要な介護が受けられなくなる事態は何としても避けなければなりません。
以上の趣旨から、下記事項につき、実施を国に求めます。
1.訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うこと
以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。 |
令和6年(2024年)6月28日 |
沖縄県島尻郡南風原町議会議長 赤嶺 奈津江 |
【提出先】衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、厚生労働大臣
訪問介護費の引き下げ撤回と、介護報酬引き上げの再改定を早急に行うことを求める意見書.pdf(80.4KBytes)